変身
新堂エルはアメリカからやってきた異端エロ漫画家です。アヘ顔興隆期以前よりアヘ顔を愛し、頻繁に漫画内でヒロインはアヘ顔を晒されていました。彼の一作目の単行本『晒し愛』は露出狂のヒロインがハードめのプレイでしょっちゅうアヘアヘと喘いでいました。二作目の『TSF物語』は性転換もの。加えてふたなり。妊娠出産などマニアックな方へ。勿論晒し愛同様コメディちっくでエロいに加えて面白いです。三作目の『新堂エルの文化人類学』でも同じくアヘ顔、ハードめ、マニアックなシチュエーションで読者を魅了しましたね。
続く短編集『恋愛イレギュラーズ』は若干ギャグ路線から離れつつも、彼の中のエロの様々な面を見せてもらえました。そして満を持しての単行本化を果たした『変身』はこれまでとは違う出版社から出版されました。内容もコメディちっくな三作とは大きく異なります。
『変身』ヒロインの咲ちゃんは高校デビューしたての美少女。しかし、今まで友達0、彼氏0だったせいか入学初日にナンパでひっかけられて処女を失います。其処からの転落っぷりは見事の一言です。合成麻薬を使ったシャブ漬けセックスにハマる咲ちゃん。そして援交、近親相姦。家出。染髪し、ピアスを開けて刺青をいれてすっかり夜の女に変貌した咲ちゃんですが悲劇はここからでした。覚醒剤に手を出した咲ちゃんは遂には彼氏(と咲ちゃんが思ってるだけ)に捨てられて家を失います。
結末については敢えて書きませんが、絶望すると思います。私は読み終えた後、落ち込みのあまり一人暗い場所で雨音を聞いて瞑想しました。今までのコメディちっくな作風だったのに…と商業誌だけ読んでる方はそう思うでしょうが、彼は実は元々そういうものも描く作家です。
新堂エルの同人サークル『Da HOOCH』の作品を見る限り、シャブ漬け妊娠ボテ腹寝取られ援交リョナなど、一般にはハードと思われるものが多くを占めています。特に読んでて似ているな、と思ったのはよつばと同人誌『four reef flower』です。この作品は女子高校生になった恵那、みうら、●学生のよつばが外国人に騙され、シャブ中になった挙句体を売り、出産する話です。この同人誌は新堂エルの初期の作品であり、ところどころのコマ割りが分かりにくかったりえも粗削だったりしますが、十分にエロくて陰惨で、素晴らしい作品だと感心したものです。
私が初めて読んだ同人誌でもあります。今回の『変身』は彼の同人を含めた今までの作品すべての集大成と言えます。なにより注目したいのはその画力。凝った構図と丁寧に描かれた女体。そして細やかなドラッグ使用描写。どんどん落ちていく咲ちゃんの愚直さは萌えです。とにかくエロシーンがエロい。加えてストーリーも最高。こんなエロ本、見たことない！そういうわけで、新堂エルの『変身』。私が生きてた中で一番の傑作です。是非読んでください！
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